なんでも読書 ◆◇◆◆
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2008.06.16
Vol.2629
『新 アラビアンナイト』
清水 義範(しみず よしのり)
出版:集英社文庫 2007年
定価:650円(税込)
ISBN978-4-08-746203-6
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本書は「千夜一夜物語」の翻訳ではなくて、著者がイ
スラム世界を紹介しながら、短篇連作の形式でお話を
つづるという形式になっています。全22話。バステ
ィーシュではなくて、案外まじめな小説。
アイシャは17歳、村のガラス職人のハサンとは結婚
を約束した仲だった。アイシャの織った美しい絨毯が、
王妃の目にとまった・・・・・
「絨毯織りのアイシャの物語」
サラームが16歳になった時、養ってくれた叔父さん
が死んだ。サラームは国で第一の大きな街に着いた。
そこで最後のお金を水パイプに払った・・・・・
「水パイプの中の恋と冒険の物語」
占い師がアリーに、37人目の女こそが妻となって幸
せに結ばれる相手だと言った。一方、アーミナが会っ
た占い師は、最初の男こそ生涯を共にする男だと言う
のだった・・・・・
「運命の恋人に出逢うまでの色の道修行の物語」
題名でみんな語りつくしているようなお話ですね。元
のアラビアンナイトが実際そうですし。思えば、あれ
ほど有名なアラビアンナイト。全部読みきったことは
ありません。一時、挑戦してみたのですが、あまりに
長くて途中で降参。
本書は全部で290ページ。アラビアンナイトのいい
とこ取りです。それにしては、アラジンもシンドバッ
ドも出てきません。もっともこの超有名な物語が出て
くると、たったそれだけで終わってしまいます。
「帯のように見えたのは、海峡を渡る蝶の群だったの
だ」
『ぼくが来たからには、きみを魔鬼なんかに食べさせ
はしない』
『三人を合わせたよりひどい苦しみですと』
『おれは何百年も生きているコウノトリの王だ』
知っているようで知らないイスラム世界の歴史と実情。
それをエッセイ風に書き出しながら、いつの間にか、
小説になってしまう。なかなか洒落た構成です。そう
そう、もとよりアラビアンナイトは、シェヘラザード
が語る不思議な物語という発端になっていたはずです
が、これも本書では割愛されています。むろん、これ
だけでもずいぶん長かったはず。
気楽に読んでいるうちに、イスラム世界の知識が増す。
たとえば、第19話の「摩天楼」のお話など、イエメ
ンに実際にある高層建築のことなのですね。これも、
私は調べてみて初めて知りました。少しずつ読んで、
長く楽しめる本です。
2時間15分
浮気をすると妙に人にやさしい
評価 ★★★★
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